【プロジェクトマネジメント】プロジェクトの目的は抽象度を上げて設定しよう!
以前の記事では、プロジェクトの目的はWhatをちゃんと考えて、Howを混同するな!という話を記載しました。
最近、読んだ本の中で、より分かりやすく、私の言いたいことが表現されていたため、自身の考えを再度整理していこうと思います。
問題発見
プロジェクトは時代の流れや状況に応じて、期限が設定されて実行されるものです。
そのため、そのプロジェクトを「やる意味」が必ず背景に存在します。
個別のプロジェクトに降りてくる前に、おそらく、経営上の戦略や課題があることでしょう。
それを一段、あるいは、二段噛み砕いて目的を設定することが重要です。
そこで、必ず自分たちで問わなければいけないのは以下のような質問になります。
- そもそもの問題は何か?
- そもそものなぜ必要か?
- そもそもなぜこのプロジェクトを遂行する必要があるのか?
Whyのように抽象度を上げる言葉が目的設定には重要です。
問題解決
上記の問題発見がされて始めて、具体的な製品やサービスに落とし込まれます。
今度は与えられた制約の中で、どのようにそれを実行していくかを検討することが重要です。
- どのようにその問題を解決するのか?
- その必要なものはどのようなものか?
- (成功させるために)どのようにプロジェクトを遂行する必要があるのか?
今度は、Howのように具体度を上げる言葉が重要です。
抽象度の高い目標設定の意味
例えば、上記の考え方に応じて、システム投資プロジェクトを考えます。
単純に、幾らかのコストをかけて新規システムを構築するものとしましょう。
その場合、問題発見の観点から、「新しいシステム投資はなぜ必要か?」を問うことで、目的を明確にします。
ここで重要なのは、そのなぜ?を複数回繰り返すことで、抽象度を可能な限り高めることです。
システムを構築する
→ (なぜ??)
(1つ目のwhy)ペーパレスを実現するためです
→ (なぜ??)
(2つ目のwhy)事務コストを削減するためです
例えば、上記のように、一段目でwhyをやめてしまうとまだ抽象度が低く、目的としてはいまいちとなってしまいます。
一方で、二段目のWhyの深掘りまでできると、手段が適切に選択でき、かつ、何かあった時に手段が再選択できます。
事務コストを削減するために、システムを開発するのではなく、そもそもオペレーションを変更しよう!であったり、そもそも、その事務が必要なサービス自体から撤収するという選択も可能となります。
ここが目的の設定の重要なところです。プロジェクトにはリスクはつきものです。そのため、迂回路が設定できるような抽象度に初めから目的を設定しておくことが重要です。
改めて、再度整理すると、下記の図のようにプロジェクトとして実施すること(What)をベースに抽象度を上げて目標を整理するのにWhyという質問が有効です。そして、それは再帰的に適用できます。新たなWhatに対して、さらにWhyを質問できるのです。
一方で、上記の図の右側のHowも再帰的な性質を持っており、目標が妥当かの論理的つながりを検証することも可能です。
例えばですが、
「事務コストを削減するために、ペーパレスを実現します。」
「ペーパーレスを実現するために、ワークフローシステムを開発します。」
のように、 文脈のつながりを確認することが可能です。
実行時には目的の具体化
一方で、プロジェクトのゴール設定においては、定量的に評価が可能であることが求められます。
一度、抽象度を上げましたが、再度具体度を上げていく作業が必要となります。
例えば、前述の例においては、
- コストを削減すると決めたら、何%削減するか、いくら削減するかを具体的に数値として定める。
- ペーパーレス化するカバレッジは事務プロセス上の何割か。
- システムであれば、自動化されるプロセスの割は何割か。
- 事務ミスで発生するはずだったコストが、システム導入で何割削減されるか?
といった具体的な目的を定めていきます。
また、システム開発の非機能要件も具体的な目標値とされることもあるでしょう。
- ワークフローのレスポンスタイム
- 特定のバッチ処理の完了時間
プロジェクトマネジメントのベストプラクティスにおける具体的な目標の設定は、抽象度の高い目標を設定した後に実行時にするべきというのが、ここのポイントになります。
どちらか一方だけでは足りないと言えます。
最後に
改めてプロジェクトマネジメントにおける目的設定のお話でした。
大事なのは抽象度の高い目的設定です。
皆さんもご自身のプロジェクト開始時、運営時には、目的を改めて疑うことをお勧めします。
炎上や失敗を回避するためには、最初の目的設定が重要です。
今回は、細谷先生の書籍を参考にさせていただきました。
細谷先生の本はとても分かりやすく纏まっており、論旨に対する具体例もめちゃくちゃ分かりやすいです。
興味のある方は是非、読んでみてくださいませ!
ちなみに、私はこちらも読みました。どっちも良いです!